選択肢で見る低価格抜きゲーの戦略の話

エロゲは選択肢を選んでいくゲームです。このためエロゲでは「選択」に関する様々な試みが行われています。

今回はその中から「選択の苦痛」を「低価格抜きゲー」で防ぐ話です。

選択は苦痛です

選択肢が多すぎると、人間の頭は機能しなくなります。「選択肢が2個だろうが100個だろうが、人間はその中から最適な選択肢を選べる」なんてのは幻想です。個人差はありますが、まともに頭を動かして選択できる選択肢は7個程度が限界なんだそうです。「選択の科学」という本にそんなことが書いてありました。

そりゃそうですね。100個の選択肢を理解して価値を考えるなんて面倒ですから。そういう意味では、選択肢は2個であってほしい。むしろ最初から選択肢なんて表示せずに最適なサービスを提供してほしい。まぁ実際に選択肢が一切表示されないと「選択の自由がない」として負の感情を抱くんですが。

さて、人類には「最適な選択をしたい」という厄介な欲求があります。それで選択肢の数が多いと「力尽きて最適な選択ができなかった。他の選択肢の方が価値が高かったのではないか」という後悔が残ることになります。

しかもそれを「選択肢が多かったせいで後悔が残った」と正しく認識できません。「この作品やったらなんか気分が沈んだ、疲れた」とかそんなもんです。だって「選択の苦痛」なんて概念知りませんから。極端な話「選択肢の多い作品はクソゲー」というワケです。

このため「必要以上に多くの選択肢を表示しない方がいい」という話になります。一度に表示される選択肢は精々5個程度でしょう。

「低価格抜きゲー」という戦略

やっとエロゲらしい話です。「選択肢の数」という意味では、回想モードは終わってます。特におかずにする抜きゲーのHシーン回想モード。

「賢者モード」という言葉があるように、人間そんなに何回も射精できません。それで「最高のおかずを選びたい」となるわけですが、Hシーン回想画面を開くとすごい数の選択肢が表示されるんですね。Hシーンが豊富であればあるほど。

だからと言って「この作品のHシーンはたったの3個です!」なんて宣伝しても悪い印象しか与えないですよね。「選択の苦痛」なんて概念を理解している人類そんなにいませんし。

この問題を解決する手法が「低価格抜きゲー」です。低価格だからHシーンの数は少なくて当然です。それはそのまま「選択の苦痛が少ない」ことを意味します。日々のおかずにそんなに悩みたくないし金も掛けたくない客にとって、低価格抜きゲーは大変便利です。

そして「選択肢の数が少ない」は「飽きやすい」ということでもあり、新作をどんどん発売してどんどん買ってもらいたい薄利多売方針のメーカーとも利害が一致します。

そういう意味では個性豊かなヒロインが5人も6人も登場して各ヒロインに数回Hシーンがある学園ラブコメみたいなエロゲっておかずとしては本当に全く適さないんですね。

でも作品の数が多くなったらダメなのでは?

作品内のHシーンの選択肢が少なくても、そもそも「所持している作品の数」が多かったら結局「どの作品を使うか」という選択の苦痛が発生しますよね。

しかし「作品の選択肢」は「Hシーン回想画面の選択肢」と比べてそれほど負担は高くありません。「抜きゲー」は「抜くための道具」なので、必要数が揃えば新しい作品の購入意欲は落ちますから。

数本用意してローテーションさせて飽きを防止して、それでも飽きてきたら捨てて、その分を補充する。そういうサイクルです。このため選択が苦痛になるほどの本数は並びません。

抜きゲー以外のエロゲは「楽しむための道具」であり、基本的に1回クリアすると新鮮味を失って楽しめなくなります。このためどんどん新作が必要になるんですが、抜きゲーはエロくて飽きていなければ使い続けられるので、そんなに新作はいらないんですね。

まとめ

選択肢の数が多くなると、頭が終わって後悔が残るから選択肢の数は減らしましょう。そういう意味で「低価格抜きゲー」は大変合理的な戦略です。

まぁほとんど湯船でぼんやり考えた妄想なんですけど。

選択肢については他にもこんな記事も書いてます。上で「選択肢を理解して価値を考えるなんて面倒」という話をしたんですが、この部分の労力をほぼ0にしたらどうなるか、とエロゲ業界の方々も試行錯誤してるんですね。
行動選択型とヒロイン選択型、エロゲのゲーム性の話