ベストカップルコンテストで優勝目指して頑張るぞ!という話です。はい、もう全く深刻になりそうにない感じですね。その期待を裏切らず、特に深刻な事態になることなく、全編終わります。私が大好きなタイプです。
ヒロイン4人でエンディングが4つ。ノーマルエンドやバッドエンドはなく、選んだヒロインとのハッピーエンドになります。そして4つのエンディングを見れば無事コンプリートできます。親切設計ですね。
ここのメーカーさん、やるときは本当に酷い難易度の作品を作ります。攻略サイトさんを比べてみましょう。今作と前作を比べると、前作は書いてある通りにやるのも面倒くさいですね。その上グローバルフラグでイベントが出たり出なかったりするらしいじゃないですか。うっかり間違えたらアウトってなぜエロゲでそんな綱渡りをしなきゃいけないんですか。
その点今作は簡単で、ヒロインをパパッと選んで終わりです。これでいいんですよこれで。毎回このくらいの難易度で作ってくれたらよかったんですけどね。
ただ、Chuablesoft作品にしては丸まっていますが、それでも他メーカー作品と比べると尖った部分はちらほらあります。相手の気持ちが理解できずチームワークを取れずにヒロインが孤立したり、ヒロインがストーカーに誘拐されたり。「でも最終的にはハッピーエンドなんでしょ?」程度のものですが、それでもその場面にいるときは胃が痛くなるような十分な威力を持っているので、それなりの覚悟が必要です。
さて、今作のヒロインは全員かわいいんですが、その中で異彩を放っていたのが射月です。
コンテストはヒロイン4人と力を合わせて優勝を目指すんですが、射月はその中で参謀になり「戦略的に勝率を上げる」という役を担います。特訓メニューを考えるだけに留まらず、場の雰囲気を操作したり根回ししたり勘違いさせたり。割とえげつない。
「…まさか、また何か企んで…?」
「当ったり前です。離ればなれの恋人へ
届くような演奏って、ロマンチックですけど、
そんなのプロだってできませんって」
「また何か企んでいるのか」に「当たり前だ」と言い切るヒロイン。惚れてしまいますってこんなの。
それでいて「性悪女」というほどドロドロしておらず、勝負の後に種明かしされたら「あーそういうことかよ!」と笑っちゃうような、そういう程度に加減されています。そしてこれが本人のルートだけでなく全ルートで活躍します。もうめっちゃかわいい。何か企んでいるときの立ち絵がかわいらしくて仕方ないです。
他のヒロインの皆さんもそれぞれしっかりかわいらしく、シナリオもしっかり書かれており、大変楽しめました。
「Chuablesoftによくあるあの重さ」は今作では鳴りを潜めており、ヒロインはChuablesoft品質、しっかりかわいいです。中でも射月はホントもう…。
見るからにアホみたいな雰囲気で、間違っても感動モノと勘違いすることはありませんね。そのアホみたいな雰囲気から「まぁ大した作品じゃないだろう」くらいの姿勢で始めると、しばらくして「あれ、これ割としっかり作られた作品では…?」と気付きます。
Chuablesoftさん、実力は元々あったんですよね。その力を入れるところがズレていただけで。今作はそれがちょうどいい塩梅に調節されていました。ということでやりましょう。