「スイートロビンガール」感想

「とまり木」を舞台にした、雰囲気が独特なお話です。私がこれまでやってきた作品では、死んだり致命的に嫌われたりしなければ、ヒロインが物語から退場することはほとんどありませんでした。しかし本作は「とまり木」を舞台にした作品であり、散歩に出かけるノリで同居生活が終わります。鳥だっていつまでも同じ木にとまっていたりしませんよね。近い将来飛び立ちます。本作の別れはそのノリです。

私たちのような人間関係ボロボロのエロゲオタクにとって、良好な人間関係というのは大変貴重で、一度築いた良好な関係は長く続けたいものです。ですよね。しかしその価値観で本作をやると面食らいます。命に別状もないのに、良好な人間関係が終わるんですから。

じゃあそれがダメかというと、別にダメではありません。理不尽な死にゲーみたいなノリではなく、ちゃんと理解できる心情の動きからくる別れです。そもそも「とまり木」を舞台にしているので、最初こそ「おおっと!?」となりますが、それほど違和感なく受け入れられるようになります。

ボリュームは小さめで、しかし不足というわけではなく、ちょうどいい量です。どういうことかというと、はい。Chuablesoft作品なので…。

4つのルートのうち3つは大した起伏もなくいい雰囲気でほっこりする感じでした。Chuablesoftってこういう作品も作れたんだ、と驚きながら心穏やかにプレイしていました。そして最後の1ルートで「そうだよな…Chuablesoftなんだよな…」となりました。

プリスという金髪の「このヒロインに手を出すのは流石に犯罪なのでは」みたいな見た目のお嬢さん、いますね。このルートではプリスの父親が大暴れします。これが本当に気持ち悪くて吐きそうになりました。

いわゆる毒親で「酒に溺れて娘に暴力を振るうクソ親」を二回りくらい酷くしたやつです。暴力こそないんですが、暴力の方がまだマシでした。病気でも事故でも事件でもいいから早急に死んでくれねぇかな、そう思ったのは私だけではないどころか多数派だと思います。

この父親とこれ以上長く付き合わされたら気がどうにかなっていたと思います。だから「ボリュームは小さめで、ちょうどいい量」。

毎度のことですがChuablesoftさん、力を入れるところを間違えてると思うんですよね。そんなにマジで気持ち悪い悪役なんていらないじゃないですか。客のほとんどは一般的な感性しか持っていないんですから、そんな客にめちゃくちゃ気持ち悪いものを出したら心を折っちゃいますって。

もっとこう、ふわっとした適切な気持ち悪さに収めた方が一般客の心を折らずに済み、将来の安定した売り上げに繋がっていくと思います。最新作の「あなたをオトコにしてあげる!」ではその辺りを配慮したのか、全体的に丸くなっていていい塩梅でした。

ここまで気持ち悪いキャラクターは技術と才能がなければ作れないとは思います。ここまで気持ち悪く作れるのはすごい。けど、じゃあ作るべきか、それを作品に取り入れるべきかというとまた別の話。

ヒロインやシナリオよりこの父親が印象に残りました。エロゲでヒロインを差し置いてしゃしゃり出てくる父親ってどうなのそれ。いえ、ヒロインはChuablesoft品質でかわいかったんですけどね…。

 

プリスの父親の印象を引きずってしまってアレですが、エロゲでは珍しい形の別れを描いた作品で、面白かったです。やりましょう。プリスルートは心に余裕があるときにプレイした方がいいです。余裕がないときにやるとトドメを刺されます。