「ニュートンと林檎の樹」感想

主人公と幼なじみがうっかりタイムマシンを起動してしまい、偉大な科学者ニュートンが美少女化したこの金髪のお嬢さんの前に現れてしまい、その衝撃で万有引力の法則に気付くきっかけを失ってしまい、歴史が思い切り変わってしまってさあ大変。壊れた歴史を元に戻すために奮闘する話です。

タイムトラベルモノですね。ですがタイムトラベルの概念に慣れていない私でも何ら困らない程度に簡単なことしか描かれておらず、頭が痛くなるようなことはありませんでした。万有引力の法則とかなんとか言ってますが物理の知識もいりません。制作陣もこの点については気を遣っていたようで、公式サイトで大々的にアピールしていました。

さて、本作ではニュートンが美少女化しています。「まぁエロゲだし」で片付けてもいいんですが本作ではこれが「女性科学者の地位が低いため、論文を広く知ってもらうために男性のペンネームを使ってなりすました」としっかり理屈の通る設定になっています。ニュートンというおっさんは存在せず、金髪のお嬢さんアリスが中の人でしたって。よく考えられています。

また史実には「林檎が落ちる様子から万有引力の法則を思いついた」という有名なエピソードがありますが、ニュートンの中の人アリスは結局万有引力の法則を思いつきません。妹が思いつき、それを一緒にニュートンの中の人になることで史実に合わせます。現代より遙かに本人認証技術が未発達であった時代、…でもそんなことができたのかはわかりませんが、できたかもしれない。これが非常に面白い仕掛けでした。本作ではこの他にも偽名、なりすましがあちこちにちりばめられていて、メインテーマだったんじゃないかと思います。

この作品を受けて、もしかしたらあの歴史上の偉人は逆の性別だったかもしれず、複数人だったかもしれない。そういう可能性を妄想ができるようになって嬉しく思います。詳しく調べればほとんど決定的な証拠によって否定されているのかもしれませんけど私は詳しくないので大丈夫。

シナリオの進み方は妹のおかげでモテすぎてヤバい。のように順番にヒロインを振りながらメインヒロインのアリスに辿り着く感じでした。ただし告白を明確に振るのではなく「ヒロインとの関係を深めるチャンスを掴み損なう」感じだったため、アリスに過剰に期待しすぎることなく道中を進められました。

妹のおかげでモテすぎてヤバい。は全員から告白されて断ってましたからね…。断るのがつらくて、つい「こんな思いまでして辿り着くメインヒロインはさぞ素晴らしいはずだ」と過剰に期待してしまい、メインヒロインと他のヒロインでそんなに差を付けるのは難しいため期待外れになり…という事故が発生しましたから、こういうふわっとした振り方はありがたかったです。

だらだらやって1日程度で終わる小さめな規模なので、個別ルートはどれも短く、個別のヒロインと長く深く付き合いたい、みたいな人には向かないかもしれません。本作では多くのプレイヤーは「サブヒロインを攻略してからメインヒロインを目指して今攻略したサブヒロインを振る」という動きをすると思うんですよね。それでこれから振るサブヒロインと長く深く付き合っちゃったらメインヒロインが期待に押しつぶされて死ぬのでこれが適切な規模だと思うんですけど、そんなこんなで本作は小規模です。障壁になるような要素も特にないので、気になったら軽い気持ちでやってみればいいんじゃないかと思います。涙を流して感動するような作品ではありませんけど、とてもいい作品でした。