「妹のおかげでモテすぎてヤバい。」感想

本作はヒロインが順番に告白してきて、それを断りながら目的のヒロインに向かっていく作品です。主人公がヒロイン叶に一目惚れして、叶の通う学園への編入を決めます。そして苦節1年妹による猛特訓のおかげで編入試験に合格します。でもよく考えたら編入しても告白が成功するとは限りません。どうしましょう。

妹「ここにモテ期を現在に集中させる秘術があるんだけど使ってみない?他の女性との恋が成就しちゃうとアウトだけど」

それで叶以外からの告白を断りながら突き進んでいくわけです。いやぁモテる男も辛いんですね。ヒロインが全員とても魅力的なので、断るのがとても辛い。これが問題です。

「告白を断る」というのはとても辛い決断です。現実には「学生のうちに」「20代のうちに」のようなタイムリミットがあるので、人生は長くてもタイムリミットまでではもう次はないかもしれません。今28で告白されて断って、30になるまでに次はあるのか―と。なのでその不安を振り切って告白を断るには、それなりに大きな理由が必要になります。

  • 相手に致命的な欠点がある
  • 相手より魅力的な人と結ばれる未来が確定している

その人と付き合っても幸せに繋がらないだろう何かがあるなら、流石にタイムリミットがどうとか言っていられません。断ります。そして「惚れている/惚れられている」「結婚を前提に付き合っている相手がいる」などの場合も断れます。今回の告白を断っても次があるので。こちらが問題になります。

「告白を断ったんだから、次の相手はもっと魅力的であるべきだ」という心理が働いて、どんどん期待が高まってしまいます。叶の前に3人の魅力的で欠点のないヒロインからの告白を断るので、叶への期待はとても高くなっていますが、残念ながら叶の魅力は他のヒロインと大差ありません。ふつうにかわいい。

そりゃそうです。「ものすごく魅力的なヒロイン」を作ろうとして作れるなら、誰も苦労しません。なので「ふつうに魅力的な叶」を最後にするなら他は「あまり魅力的でないヒロイン」にする必要がありました。けどそんなことしたら3/4のルートが壊滅しますし「他のヒロインの告白を悩みながら断る」こともできません。

それで「全員同じくらい魅力的」にしちゃいました。なので叶と結ばれた際に「かわいくなくはないけど…まぁこんなもんか」という大変微妙な印象になってしまいました。そもそもプレイヤーは叶に一目惚れしておらず、ただのかわいいヒロインとしか見ていません。その叶のために他のヒロインからの告白を断りながら突き進む―というのは何か間違っていた気がします。

 

叶が微妙だったのは大体高まりすぎた期待のせいで、叶自身に問題があったわけではありません。そしてそれまでの3人も叶を微妙にするくらい魅力的です。叶ルートクリアで解放される妹ルートもサブヒロインルートもよく、ほとんど文句の付けようがありませんでした。

振りながら目的のヒロインに辿り着く構成が不味かった以外は全面的に素晴らしい作品でした。「叶も他と大差ないぞ」というネタバレ付きでやるなら、過度の期待で叶を潰さずに済み、100点満点かもしれません。