アルハラなんて言葉まで出てきた現代、「酒を好まない、嫌っている人」の存在が割と世間に受け入れられるようになりました。
エロゲやってれば楽しいんだから酒なんていらないよ。私もそう思っていました。それが最近「でも酒が必要な人もいる」という認識に改まりました。
オタクはそれぞれ「楽しめるもの」を知っています。とりあえずこれに触っていれば楽しい。これをやっていれば楽しい。私のそれはエロゲであり、ブログであり、Twitterです。どういう運命の巡り合わせか、偶然「楽しめるもの」に出会えました。
偶然なので、全ての人が「楽しめるもの」に出会えるとは限りません。私たちが異性と出会わなかったのと同様に、「楽しめるもの」と出会わない人生というのもあり得ます。
そうした人にとって酒はとても便利な道具です。スーパーやコンビニで買えて、飲むだけで美味しくて楽しくなれるんですから。世のオタクグッズと違い入手困難でもなければハズレもそんなにありません。簡単に入手できて、簡単に楽しめて、しかも当たり率が極めて高い。とても便利ですね。
「楽しめるものに出会わなかった、酒でしか楽しめない人」はどういう生活になるかというと「昼間仕事して、家に帰って酒を飲んで寝る」です。酒を飲むだけで楽しめるので時間が掛かりません。エロゲなら数時間掛かるところが十数分で済みます。テレビでプロ野球でも流しておけば完璧です。飲み食いして寝るだけ。
そして酒は酔うので飲める量には限界があります。それに加えて従量課金なのでもう1本追加するのもちょっと。なので楽しめる時間は精々1時間。私たちオタクの趣味は体に負担を掛けない上に買い切りなので無限に続けられますが、酒はそうではないので自由時間はそんなに重要ではありません。このため残業には割と寛容です。
酒が趣味の人は「酒を飲んで楽しい気分のまま寝る」がベストです。なので飲み会にも寛容です。特に飲み会は「普段1人でやってそこそこ楽しい飲酒が、複数人になってとても楽しい飲酒になる」ので大歓迎です。またやりたいな、そうなりますね。
彼らにとって休日はある意味地獄で、平日と違い何もせずに過ごす時間がとても長いです。人間は暇になると暗い思考に支配される生き物です。しかも寝転がっていたら家族から邪魔がられる。なので休日出勤も「いやー休みまで働いていられるかよー」と嫌そうな顔をしますが、あまり苦だと感じていません。休日だろうと酒で楽しめる量も時間もそんなに増えませんしね。
こうして考えるとアルハラ、パワハラも何となく理解できます。「酒でしか楽しめない人」にとって酒は人生で最高に楽しいものです。私たちのパソコンやスマホ、アニメやゲーム、そういうものを想像すれば何となくわかると思います。
いい作品って布教したくなりますよね。同じ沼に引きずり込んで語り明かせるようになりたい。同じ感覚を共有したい。それのアルコール版がアルハラです。彼らにとって酒は「手軽で、美味しくて、楽しくなれるもの」ですから。私たちがドン引きされているのに気付かずに布教しちゃうアレと同じです。
また彼らは「酒を好まない、嫌っている人」の残業、飲み会、休日出勤などを嫌う感覚も理解できません。知識としてはわかっていても、根本的に感覚が違うから腑に落ちない。
「酒を好まない、嫌っている人」にとって楽しみは「3時間で3発生させるもの」なので、1時間残業は楽しみが1なくなることを意味します。一方で「酒でしか楽しめない人」は自由時間が2時間でも3時間でも大差ありません。1時間で酒を飲んで楽しくなって寝るだけ。1時間で3楽しめるので1時間残業に抵抗がありません。
そういう背景が理解できないので「残業じゃなくて明日に回しちゃダメですか」という反応を見ると「こいつやる気がないな」となります。これがパワハラの正体。
- 酒は「楽しめるものとの出会いがなかった人」でも手軽に楽しめる便利な道具
- 酒は短時間で楽しめるので、酒でしか楽しめない人は残業や休日出勤に寛容
- アルハラやパワハラは、酒とオタク趣味の感覚の違いによって発生する
「休日に家で寝転がっているオヤジ」という概念が理解できずにいました。休みなんだから楽しく過ごせばいいのに。そうじゃないんですね。活動時間が長ければ長いほど楽しみを発生させられる私たちと違い、酒に酔って短時間で一気に楽しみを発生させる彼らにとって、寝転がっているというのは大変合理的な過ごし方でした。
わかったところでアルハラもパワハラも勘弁してほしいですけど、わかった分だけマシな受け止め方ができそうです。