エロゲの「飽きてもらう設計」

エロゲメーカーは、プレイヤーに早く飽きてもらいたいと考えています。いつまでも同じ作品をプレイし続けてしまっては新作を買ってもらえないので。でも「旧作なんて早くやめて」とも言いづらい。じゃあ飽きてやめたくなるように仕向ければいい。そうなりますね。

ファミコンとかプレステとか言っていた時代、ゲームは買い切りでした。1本数千円のゲームソフトを買えば、そのゲームの全てをプレイできました。なのでメーカーが得られるのは1本につき数千円。もっと儲けたければ客を増やすか、新作を作るしかありません。現代のエロゲも大体これですね。

そこからインターネット環境が整うにつれて「ネットゲーム」「課金」という概念が出てきます。ゲームを1本作って運用して継続的に利益が発生させる。そういう新しい仕組みです。まぁインターネット環境が整う前から「対戦型カードゲーム」や「ゲームセンター」がそれっぽいことをやっていましたけども。

ネットゲームや対戦型カードゲームなどの課金ゲームは「飽きてもらいたくないゲーム」です。飽きられてしまうと利益が発生しなくなるので。一方で買い切りゲームは「飽きてもらいたいゲーム」です。飽きてくれないと新作を買ってもらえないので。課金ゲームでない大多数のゲームは「飽きてもらいたいゲーム」なんですね。

さて、ではプレイヤーを見てみましょう。一般ゲームは「学生」がプレイできます。学生は

  • 同じ顔ぶれの人間が長期間同じ場所で過ごす
  • 自力でその環境から脱出できず、またその発想もない

という性質上「友達との共通の話題がほしい」です。このため「友達がやっているから自分もほしい」というアレになり、顧客の輪が広がりやすいです。「プレイしている学生」はそのまま宣伝になります。学校中に広まりきるまでは飽きてもらわなくていいです。

しかしエロゲは年齢制限の都合で学生がプレイできません。ってことはこの美味しい客層が丸々対象外ってことです。

エロゲをプレイするのは「大人」です。「大人」はクソ不味いです。

  • 割と自力で環境から脱出できてしまうし、その発想もある
  • 人生経験が豊富なため「共通の話題」をゲームに求める必要がない

何かもう絶望的ですね。大人も共通の話題はほしいですが、学生ほどの熱はありません。こういう性質上大人は「人気作品」より「自分の好みに合った作品」を選びがちで、顧客の輪が広がりづらいです。「プレイしている大人」は宣伝になりません。

そういうワケで「一般ゲームも飽きてもらいたいゲームだけど、エロゲは特に飽きてもらいたい」です。もちろんエロゲには「飽きてもらう設計」が盛りだくさんです。具体例を見ていきましょう。

ギャラリー、回想機能

コンプリートしたことを明確に示して「もう新しい要素が存在しないこと」をプレイヤーに理解させる効果があります。CG・シーン回想100%になったんですから、本作はもう終わりですよ。やめましょう。

操作技術を要求しない

人間は「上達」に喜びを感じてしまい、一度喜びを感じると、同じ手段で何度も喜びを感じようとします。何度もプレイされたら困るのに。このため操作技術なんて要求せず、ぽちぽちクリックするだけにしています。

ランダム要素をなくす

人間は「毎回変化するもの」には飽きません。けどそんな膨大なパターンを手作業で用意するのは無理です。そこで「ランダム」です。ランダムによって「膨大なパターン」を手軽に作るわけですね。だから飽きてもらいたくないネットゲームはランダムだらけ。

とにかくすぐに飽きてもらいたいエロゲにとって、そんなもの害しかないですね。

 

  • エロゲは買い切りゲームなので、メーカーの本音は「速やかに飽きてほしい」
  • けどそう言うわけにもいかないから「飽きてもらう設計」にして客に飽きてもらっている
  • エロゲは学生に買ってもらえないのが辛いところ

エロゲの年齢制限が廃止されて「18禁ゲーム」という言葉が消えてなくなれば、現代よりもゲーム要素の強い、それこそ一般ゲームみたいに操作技術を要求するランダム要素が豊富な作品も増えるんじゃないでしょうか。

少子化対策とか何とかで若い頃から性に興味を持ってもらおうみたいな…ないか。