文字は「書けば読んでもらえて伝わるもの」ではありません。相手の読みたいという気持ちが生き延びてくれて、読んでくれて、幸運にも意味を理解できて、それで初めて伝わります。
ということで、読みたいという気持ちを殺してしまわないための文字レイアウト講座です。
段落と改行
当ブログの記事は段落を数行毎で区切っています。これを行わないと文字がぎっしり詰まった印象を与えて読む気を殺してしまうためです。
だからといって文毎の改行は逆に読みづらくなります。段落分けを基本として、手動での改行は行わないくらいにしてみてください。
改行があると、読者は右端から1行下の左端まで視線を大移動させなければなりません。そしてこの大移動は地味に難易度が高いので割と間違えます(1行下ではなく今読んでいた行の左端に戻ったりする)。改行の数だけ大移動が発生するので、改行はできるだけ減らしたいですが、ぎっしり詰まった印象を与えてしまうとそもそも読まれません。この折衷案が「手動改行は行わずに数行毎に段落分け」です。
左寄せ、中央揃え、右寄せ
文字を枠内のどこに揃えるかの設定です。
左寄せ左寄せ左寄せ左寄せ左寄せ左寄せ左寄せ左寄せ |
中央揃え中央揃え中央揃え中央揃え中央揃え中央揃え |
右寄せ右寄せ右寄せ右寄せ右寄せ右寄せ右寄せ右寄せ |
法律で決まっているかは知りませんが、一般的にはいくつかルールがあります。
- 表の見出しは中央揃えする
- 1行で収まるタイトル、スローガン、キャッチコピーなどは中央揃えも検討する
- 表においての数値は右寄せにする
- それ以外は全て左寄せにする
何も考えずにこのルールで設定してみてください。見栄えが普通になり、個性を出していた頃と比べて読みやすくなっているはずです。
パンフレット、書籍、包装など、プロが作った作品はほぼ間違いなくこうなっているはずです。その一方で職場の手作り掲示物や個人制作の同人ゲームでは、こうなっていない文字がちょくちょく出てきます。プロの作ったレイアウトの方が多く出回っていて普段触れているので、それに沿っていない個人制作の文字レイアウトでは読みづらく感じてしまいます。
特に文章の中央揃えは絶対に行ってはいけません。行頭が揃わなくなることでただでさえ難しい改行の大移動の難易度が更に跳ね上がります。
上寄せ、中央揃え、下寄せ
左右方向の揃え方があれば上下方向の揃え方もあります。
上寄せ | 中央揃え | 下寄せ |
といっても何も考えずに全部上寄せしておけばいいです。
禁則処理
禁則処理とは、不味い位置で改行を行わないようにしていい感じにする処理です。
- 句読点(。、)や閉じ括弧(」>))が行頭に来ないようにする
- 改行後の行が1~2文字で終わらないようにする
辺りを意識するといいでしょう。
文字種の調節
漢字が連続すると難しい印象を与えてしまい読まれなくなります。4文字程度を限度として、適度にひらがなを挟みましょう。また開いた方がいい漢字(○それでは ×其れでは)はどんどん開いて難しい印象を与えないようにしましょう。
カタカナ言葉が多くても難しい印象を与えるので、簡単な漢字やひらがなで言い換えられないか検討しましょう。カタカナ言葉は漢字と違い読めないわけではありませんが、意味がわからないことが多く「カタカナ言葉=意味不明」と苦手意識のある人が多いです。アルファベットはそれだけでもう拒絶反応を示す人も多くいるので基本的に使うべきではありません。
これらを一通り身に付ければ、パッと見ただけで読む気が失せるようなひどい文字レイアウトにはならなくなると思います。中央揃えのあらすじで顧客を殺しても誰も幸せになりませんから、パパッと身に付けて無駄な損失を減らしていきましょう。