発言者表示枠を主人公とその他で分離する案を考える


こちらはリヴォルバーガール☆ハンマーレディのゲーム画面です。キリコが発言者で、キリコの姿が丸い枠の中に表示されています。実に一般的な発言者表示です。

ところで右側にも同じような枠がありますね。何でしょうこれ。左右対称にして画面を美しく見せるためのものでしょうか。

実は本作では右側も発言者表示枠になっています。

主人公側から見た相手側の立場に用いられる枠で、敵だけでなく話し相手なども右側に表示されます。何なら冒頭のキリコも右側に表示されることがあります。あまり見ない、というか他で見たことのない発言者表示ですね。探せばあるかもしれませんが私は本作が初めてです。

こうすると何が便利かというと、発言者の立場が明確になります。このデッドヘッズAは敵か話し相手かはわかりませんが、右側ですから主人公側ではありません。

それ以外の利点としては、本作は抜きゲーで竿役は気持ち悪い化け物ばかりなので、そういう気持ち悪い奴らをあまり意識させないようにしたのかもしれません。普通に立ち絵が表示されているので効果はほぼなさそうですけど。それどころかCGが表示されるシーンでは名前しか表示されないんですけど。

こうして見ると、単に立場を明確にすることにしか役に立っていないみたいですね。

逆に問題点はいくつも思いつきます。まず視線移動が面倒です。一般的な左側のみの発言者表示なら「左端で発言者を知り、その発言者のものとしてセリフを読む」という自然な動作が可能です。それが左右で分離してしまうと「主人公側のものであれば発言者がわかった状態でセリフを読めるが、それ以外ではセリフを読んでから発言者がわかる。もしくは無理矢理発言者を見てからセリフを読む」という不自然な動作を強いられます。実際あまり読みやすくありませんでした。「主人公側ではない誰かの発言」というのはすぐにわかるんですが、じゃあ誰だよって。

「何らかの名言 ―発言者」というような発言者を右側にする表示もときどき見掛けはします。しかしあれは発言そのものが決め台詞として威力を持っている場合に有効な方法であって、威力を持たないセリフも多数あるエロゲでやっても発言者がわかりづらい欠点が目立つだけです。

また作るのも面倒だったはずです。セリフ毎に左右どちらに表示するかを設定しなければなりませんから。「キリコだから左」と決まっていればまだしも、「キリコでも右」もあり得るので全セリフに設定する必要があります。面倒ですね。もちろんテストする場所も1つから2つに増えているのでテストの面倒も2倍です。

本作の発売が2012年、それから月日の流れた現代でも発言者表示が左側のみで行われているのは、客からも制作陣からも広く受け入れられているためなのでしょうね。