利用者を混乱させてしまわないか?

モンスターブラックマーケットは娼館経営ゲームです。部屋を設置して女の子と客を放り込んで売春させるやつですね。そしてモンスターブラックマーケットには触手ルームという部屋を100回作ることが条件のエンディングがあります。これが面白い作りになっていました。

エンディング条件はゲーム内に表示されています。「触手ルームを100回作ったら○○エンディング」なので、それならあとは100回作るだけですね。ぽちぽち100回触手ルームを作って、さあ来い○○エンディング!…来ません。あれ、何か間違えたかな。縦10個、横10個で100個の触手ルームを作ったはずだけど…何度縦横の個数を数えてもやっぱり10個ずつ並んでいます。他の条件を疑っても、どれも達成できています。おかしい…○○エンディングに入れない不具合かな…?

不具合ではありませんでした。○○エンディングの条件はちゃんと100回になっていました。ただしチュートリアルで作った1回を含めずに。このため101個の触手ルームを並べる必要があったんですね。そりゃ足りませんから○○エンディングにもなりません。

…ではプレイヤーの皆さんが混乱するでしょうから、チュートリアルを含めてはどうかと作者さんに提案しました。

100回も繰り返すのはただの苦行なので、100回でいいなら100回しかやりません。誰だって定時で帰りたい。あと一押しで○○エンディングですが、プレイヤーは仕様や実際のプログラムなんて知らないので、「もう1回作ればいい」とも知りません。100個の触手ルームを並べた時点で○○エンディングに入れなければ不具合だと思うか、他の条件を疑います。

ではこれが「チュートリアルを含めて100回」ならどうなるでしょう。まず含めて100回と理解した人は混乱せずに済み、スムーズに○○エンディングに入って満足できます。そして含めず100回と理解した人も、1個無駄な触手ルームを作ってしまうだけで、本人はそれを無駄と気付くことなく○○エンディングに入って満足できます。エンディングは1回見れば十分なので「101回作ったけど、もしかして100回で十分だったのでは?」などと疑うこともないでしょう。こうして誰も混乱することなく、全員が○○エンディングに入って幸せになれます。

この提案は無事採用していただけて、他の方からの「そもそも100回って苦行すぎない?」というごもっともなご指摘もあり、「チュートリアルを含めて50回」に修正されました。

 

「利用者を混乱させてしまわないか」という視点は開発陣の中ではなかなか持ちづらいと思います。皆さん作品について熟知してますしね。ですが混乱させてしまうとふわっとした幻想や集中力が宇宙の彼方まで飛んでいって作品の評価がボロクソになります。

可能なら開発に関わっていない人にプレイしてもらうといいでしょう。全く想定外の動きをするはずですから。「エロゲのテストプレイを快く受けてくれる部外者」なんて人材を用意できるかというと…あ、私が暇なときでよければ