嫌いなものとの付き合い方、嫌いな理由を「キモい」で片付ける

「キモい」という言葉があります。「気持ち悪い」の略ですね。そして「生理的に無理」の略であり、色々長ったらしい「嫌いな理由」の略です。とても便利な道具です。

「キモい」という言葉は、私たちオタクにとって言う回数より言われる回数が圧倒的に多いです。もしかすると意識して言わないようにしている方もいらっしゃるかもしれませんね。相手を貶す言葉であり、言われて気持ちのいい言葉でないことは身を以て理解しているので「自分は使わないようにしよう」なんて意識が芽生えるのも不思議ではありません。

ただし「キモい」は相手を貶す言葉であると同時に大変便利な道具でもあるので、使えば簡単に片付く場面で使わない・使えないというのは、それはそれでつらいものがあります。「キモい」が大活躍する場面とは「嫌いな理由を考え始めたとき」です。

私たちは何事にも筋の通った理由を求める性質があります。それが流行した理由は?成功した理由は?好きな理由は?嫌いな理由は?―そして考えるわけですね。「おっぱいが大きい」とか「髪が青い」などと。好きな理由を考えている分にはいいんです。好きなヒロインの大きなおっぱいを想像していれば少なくとも気分が沈むことはありません。しかし逆に嫌いな理由を考える場合、想像するのは嫌いなものであり、気分が沈みます。

ここで活躍するのが「キモい」です。「このヒロインがイマイチ好きになれねぇんだよなぁ…なんでだろう」に「言動が幼稚」「髪の色があのキャラクターに似ている」などと繋げずに「キモい」で済ませる。そういう使い方。

なんと3文字で気分が沈む思考を終えられ、ほとんど何も想像せずに済みます。10秒だか5分だか続いていたはずの「嫌いなものを想像している時間」「筋の通った理由を探すために実物に接近する時間」が1秒程度まで縮まるんですから「キモい」がいかに便利な道具であるかご理解頂けたと思います。

もっともらしい嫌いな理由を見つけられても、結局私たちは弱いので力尽くでそれを排除できないでしょう。嫌いな政治家を重要ポストから引きずり下ろすとか、できませんね。明日も明後日も、1年後も5年後も、彼らは世にはばかっていることでしょう。それならこちらが一瞬で脳内から排除するスルースキルを身に付けた方が圧倒的に簡単に問題を解消できます。彼らの多くは積極的にこちらの関わってはきませんから、こちらから積極的に関わろうとしなければ、最低限の接触で済みます。

もう一つ、あなたのことを「キモい」と罵ってきた彼らが仲間を増やして一大勢力を築いていたのに対してあなたが孤立したあの現象について考えてみましょう。そういう経験ありませんか。私はあります。悲しいなぁ。

「キモい」は「理由を追及しない」という性質があります。たとえばこのブログが嫌いなAさんは実は「文体が気に入らない」でBさんは「ブログタイトルが気に入らない」であるとします。そのまま会話するとこうなります。

A「あのブログって文体が気に入らないんだよね」
B「え?俺は別に何とも思わないけど、あそこはブログタイトルがダメ」
A「あ、そうなの。僕はあのブログタイトル好きだけどなぁ」

共感できてないですね。それが「キモい」だとこうなります。

A「あのブログってキモいよね」
B「わかる」

あら不思議。共感が発生しました。追求するとズレが浮き彫りになりますが、追求しないので大丈夫です。こうしてあなたのことをキモいと感じる一大勢力が形成され、あなたが孤立するに至ったわけです。共感を発生させるテクニックは「追求しない」です。

主人公に感情移入しにくい私たちの精神構造

共感が発生すれば、それは「味方がいる」ということであり、自信に繋がります。自信はないよりあった方がいいですね。少なくとも自信が足りなくて精神科のお世話になったりしている私たちみたいなのには特に。追求すると自信を失います。追求せずに片付けるために積極的に「キモい」を使っていきましょう。