どうやらエロゲのOPムービーはスタッフロールではないらしい

エロゲには大体OPムービーが付いています。OPムービーってスタッフロールの退屈さを誤魔化すためのものですよね。でもどうやら、エロゲのOPムービーはスタッフロールではないみたいです。

制作陣は「多くの人に名前を知ってもらいたい」と思っています。「名前を知ってくれた人」の中から次の客が生まれるので。けど作品本編を流しただけでは制作陣の名前は表示されません。それで制作陣を紹介する部分としてスタッフロールをくっつけたわけです。

ここで重要なのは「制作陣が見せたいだけ」という点です。客は別にスタッフロールを見たいとは思っていません。本編を見たいだけです。本編を見たいだけの客にスタッフロールを押しつけると嫌われて作品自体見てもらえなくなります。これはどうしても避けなければならない事態です。じゃあどうしたらいいか。客に「スタッフロールも見たい」と思ってもらえばいい。そうなりますね。

どうしたら「見たい」と思ってもらえるか。まぁ楽しければいいですよね。ってことで音楽を流してみました。多少マシになりましたが、まだつまらない名前の羅列です。でも方向性は間違えていないようなので楽しい動画も付けてみました。かなりマシになりました。これがOPムービーです。

 

しかし残念ながらOPムービーでスタッフロールを流すのは適しませんでした。OPムービーは物語の始まりで流すムービーです。客はまだ本編を見ていません。本編を見ていないので、質の高さもわかっておらず制作陣への関心が低いです。「すごい作品」だからこそ「他の作品も見たい、仕事を依頼したい」と思って「これ誰が作ったの?」となるんです。そういうワケでOPムービーでスタッフロールを流したところで制作陣の知名度にはさほど貢献しないんですね。

その上OPムービーは物語の始まりということでテンションの高い曲と激しい動きが合います。このため物理的に名前が表示される時間が短く、背景の動画の動きが激しくて読みづらいので、名前を知ってもらうための看板としてもダメダメです。

更にOPムービーは本編の前に流れるので、客は「本編を早く見たい」です。スタッフ全員を紹介しても「OPムービーの尺を延ばしやがった戦犯リスト」にしかなりません。知名度は知名度でも、悪い印象を与えてしまっては次の仕事に繋がらないのでやっぱりダメです。

ってことで、スタッフロールはEDムービーに丸投げしました。物語の終わりで流すムービーなので、客の制作陣への関心が高いです。また物語の終わりということでテンションの低い曲とゆっくりとした動きが合います。名前の文字が読みやすいですね。そして本編の後に流れるので客の心は穏やかです。全員を紹介してもそれほど悪い印象を与えません。完璧ですね。

 

じゃあスタッフロールでないならOPムービーいらないじゃんってなりますよね。わざわざ金と手間を掛けて作らなくてもいいじゃないですか。

OPムービーはその性質から、スタッフロールとは別の役割を持つようになりました。宣伝です。テンションの高い曲と激しい動きは目立ちますし「楽しそう」という印象を与えられますから。店やイベント会場などでそのまま宣伝ムービーとして流せます。OPムービーを宣伝ムービーとして見てみると、色々頷けると思います。

紹介する制作陣の厳選

OPムービーは宣伝ムービーであり、表示する名前も宣伝目的です。シナリオライター、原画、声優などはファンを抱えており、名前を出せば彼らを釣れます。

一方でプログラマや営業、背景担当といった裏方の人々はファンを抱えていないのでOPムービーでは省略候補です。

ヒロイン・雰囲気第一

OPムービーは基本的に「ヒロイン・雰囲気紹介→急ぎ足で制作陣紹介」という構成になっています。これはエロゲが何より「ヒロイン・雰囲気」を売りにしているためです。かわいい、エロいヒロインを紹介して「さぁこの魅力的なヒロインと楽しいひとときを過ごしましょう」と。

最初に説明したとおりスタッフロール自体は相変わらずつまらないので、短いに越したことはありません。それで序盤の楽しい動画の勢いに任せて、短くまとめたスタッフロールを後半で一気に流すんですね。ファンの皆様は短時間のスタッフロールでもめざとく名前を見つけてくれるので、だらだら長くする必要はありません。

※これエロゲのOPムービーの話です

アニメのOPムービーはまた事情が違います。アニメはヒロインを売りにしているわけではないので。それでヒロイン紹介が必要なく、その分ゆっくり制作陣を紹介でき、OPムービーからほぼ全員を紹介しています。

 

元々OPムービーは「スタッフロールの退屈しのぎ」だったけど、特にエロゲにおいてOPムービーはスタッフロールには適さなかった。そのためスタッフロールはEDムービーに任せて、OPムービーは宣伝ムービーとして活用することにした。そういう話でした。そういう視点でOPムービーを眺めてみると面白いかもしれません。