そのフレイバーテキストいる?


これはドーナドーナに登場するアイテム「わいせつスライム」です。服だけ都合よく溶かす液体を分泌するエロゲ御用達のスライムが元ネタのようで。説明も1行目は効果についてで、2行目はちょっとした小ネタといった感じですね。これいる?

2行目のようなテキストをフレイバーテキストと言います。フレイバー(Flavor)は香り、風味を意味する言葉で、味気ない要素に風味を添えるための本来無意味なテキストです。

フレイバーテキストは攻略上何ら意味を持ちません。そして不要な要素でありながら、作るには当然工数が掛かります。誰かが頑張って書いたんですよこのテキスト。他の作業にも充てられたはずの時間をわざわざ掛けたんです。

こうして限られた人材のこれまた限られた労力や時間を掛けて作るわけですから、作品の評価に好影響を与えるものでなければなりません。好影響を与えないとか悪影響しかないとかでは、やらない方がマシです。「余計なこと」という言葉があるように、「どれだけ頑張ったか」はいい作品を作る上では関係ありません。いい作品を作れたかという結果が全てです。

では改めて、これいる?

仮にフレイバーテキストがなかった場合、制作陣は、そしてプレイヤーはどうなるでしょう。

制作陣は、単純に工数が減って楽になります。このテキストをアイテムの数だけ考えて書く作業、誤字脱字などの確認作業、アイテムにテキストを設定する作業、表示域を設計する作業、そして実際に見切れることなく正常に表示できたことを確認するテスト作業、…これらが全てなくなりますから。一応「伝えたかったことを全て伝えきれず、むずむずする」という不完全燃焼感が残るかもしれないというのはありますが。でも伝えたいことを全部書けばいいとも限りませんしね。

プレイヤーとしては「何か書いてある」と気づいて読んでフレイバーテキストだと判断して意識から外すという作業がなくなり楽になります。合わないフレイバーテキストに遭遇してげんなりする事故も発生しません。もちろん逆にフレイバーテキストがないことで味気なさを感じてしまう可能性もありますが。それでも今件を見てみるとイラストとウケ狙いの名前が既に付いており、十分な味付けが済んでいるように思います。

 

フレイバーテキストは元々はMTGというカードゲームの手法で、あちらは世界観を感じさせるしっかりと練られたテキストが添えられていました。多分何人もの専門人材を充てて作っているんだろうと思います。じゃあエロゲのフレイバーテキストはどうかと言えば…まぁ多分片手間ですよね。それがMTGのフレイバーテキストと同じように有効に機能するかどうか…。

ではわいせつスライムから雑にフレイバーテキストを消してみたコラ画像を見て、記事の締めとしましょう。

これじゃダメ…?