素晴らしい作品なのに布教が成功しない原因と、布教を成功させる方法

素晴らしい作品に出会うと「この素晴らしい作品をみんなに知ってもらいたい」というアレが発生することがあります。そしてそのアレのままに友達に布教すると引かれます。なんで…どうして…こんなに素晴らしい作品なのに…って当然なんですよね。今回はこの現象の原因と対策の話をしましょう。

まず原因の方から。布教の成功率に「作品の素晴らしさ」は大して影響しません。どんなに素晴らしい感動の超大作でも、めちゃくちゃかっこいいヒーローモノでも、どれだけ美しい絵画でも、成功率はクソゲーと大差ありません。

なぜかというと「布教するほど何かに傾倒している人」は気持ち悪いためです。布教そのものが気持ち悪いから、何を布教するかは重要ではない。そういうことです。

何かに傾倒する人というのは、高確率で面倒な問題を抱えています。人生で発生する問題は多岐に渡るので、何かに傾倒して能力が偏っていると専門分野以外の問題を片付けられなくて詰むんですよね。

片付かないままの問題は徐々に成長し、いつ爆発してもおかしくない状態になります。爆弾を抱えているやべぇヤツとお近づきになるのは得策ではありませんね。そういうワケで「布教してくるヤツ = 何かに傾倒しているヤツ = 面倒な問題を抱えている危険なヤツ」とみなされ、布教しただけで気持ち悪がられます。

ではどうしたら好きな作品を布教できるのか。本題ですね。あなたは凄腕の営業マンではありません。芸能人でもなければアイドルでもない。まずこの現実を受け止める必要があります。何当たり前のこと言ってるんだって話ですが、布教する人はよくこの現実を忘れるんですよ。

話術に長けているわけでも絶大な人気を誇っているわけでもない何だかよくわからない曖昧な人類が、高確率で布教を成功させたり、何千何万もの新規顧客をスムーズに獲得できるワケがないじゃないですか。ですよね。

そういうワケで布教の目標を「数人ファンが増えたら儲けもの」として、「節度を持って作品を楽しんでいる姿を公開する」という方法を使います。

学校の休み時間なんかに教室の一角でカードゲームで盛り上がっているオタクっていませんでしたか。というかあなたがそうだったかもしれません。そのグループにときどき新顔が混ざっていませんでしたか。「何か盛り上がってるじゃん」とふらっと立ち寄った彼ら。アレが布教の第一歩です。

「足があれば追いかけて捕まえられる」は確かに正しいですが「追いかけられた相手は逃げる」もまた正しい。そしてあなたの足は逃げる相手を捕まえられるほど速くない。だから「食虫植物のようにいい匂いを出して虫の方から近寄ってきてもらう」というわけです。追いかけて捕まえるほどには能動的にファンを増やせませんが、普通に仲間と楽しくやっているだけで布教できます。

食虫植物戦略では、寄ってくる虫を選べません。特定の誰かを狙った布教はできず、近寄ってきた人を手当たり次第引きずり込んでいけば、運が良ければ狙っていた彼もいつの間にか引きずり込めているかもしれない。そんな戦略です。仲間が増えれば一人で布教しているときより効果的に布教できますしね。

さて、カードゲームなら教室の一角で仲間と楽しく対戦していればいいですが問題はエロゲです。エロゲは人前でプレイできないので、楽しんでいる様子が伝えられません。この場合、身近な人々への布教は諦めます。だって無理だもん。

こういう作品の布教は、インターネットを使うことになります。楽しんでいる様子を公開して「何これ楽しそう。俺もやりたい」と思わせるわけですね。タイトルがわかるよう、スクリーンショットのウィンドウ枠は削らないようにしましょう。ときどき再プレイしてその様子を公開するのも有効です。一度目は効かなくても「何度もプレイするほどこの作品を気に入ったんだな」となるので。

インターネットでの布教は、現実での布教と違い布教できていることの実感がありません。相手は買ってもすぐにプレイしないかもしれず、プレイしている様子を公開しないかもしれませんから。なので「これ全く効果ないのでは…?」となるかと思いますが、布教活動だと気負わずに作品と楽しく付き合っていきましょう。あなたが気に入った作品ですから、あなたのフォロワーの一部も多分気に入ります。というか布教しようと活動し始めると逃げられるので、単に楽しんでいる様子を公開するだけにしましょう。

ということでまとめ。

  • そもそも「布教」自体が気持ち悪いから、作品の質に関係なく布教は成功しない
  • 気持ち悪がられながら布教を成功させる話術なども持っていない
  • このため「楽しんでいる様子を公開して興味を持ってもらう」方針で布教する

「面白いので皆さんもやりましょう」などと布教して回る必要は全くありませんというか逆効果なのでやめましょう。単に作品を楽しんで、その様子をTwitterか何かで公開するだけのことが、私たちコミュ障オタクにできる最善手です。